日本企業が電子署名を使いこなすために越えるべきハードルは何だろう

昨今のコロナウィルスによるテレワーク推進の動きを受け、電子署名に関する議論が活発化しています。先般は、法務省から捺印に関するQ&Aが出されるに至りました。

電子署名の普及が以前と比べて進みつつあるのは事実ですが、こと日本においては、まだまだハードルがある、というのが私の感覚です。

ハンコの不便さやテレワークの弊害云々以前に、これまで日本企業が培ってきた文化が、ジョブディスクリプションや権限委譲を苦手としていて、それが電子署名を含む「サイン文化」に馴染まないと感じます。

 

ハンコ実務とサイン実務の決定的な違い

日本のハンコ実務において、名義人自らハンコを押しているケースは、ほとんどありません。何らかの会議体で決済をとり、稟議書等をもって、ハンコ管理部署がハンコを押すケースが大半です。

そこには、徹底した「責任の所在の不透明化」があります。単独の存在としてのサイナーは、ジャッジもしなければ、クロージングもしません。

 

一方、欧米のサイン実務においては、サイナーは自らサインをします。

そこには、前提としてジョブディスクリプションと責任範囲の明確化があります。サイナーは、自らが責任を負える(負っていい)契約であるから、自らの手で契約にサインをします。組織はそのように作られ、責任範囲があらかじめ明確化され、権限委譲がなされ、組織においてサイナー名義も細分化されます。

この「責任範囲の明確化と権限の細分化」が、「自ら書面にサインをする」というサイン文化を形作っていると感じます。

  

電子署名の使用で直面したこと

私自身の経験ですが、こちら側がクラウド型電子署名を使用して契約相手型に手続きを依頼した際、「決済や手続きの事情があるので、サイン名義は代表者にしつつ、手続き自体は事務担当が行いたい」という申し入れを受けたことがあります。

日本企業が、ジョブディスクリプションと権限委譲を本質的に苦手としていることを強く感じる例です。

改めて考えると、「自分のサインをするのに決済が必要」っていうの、本来おかしいですよね。

 

まとめ

電子署名は、ハンコと異なり、「誰が手続きしたか」が明確になります。これはハンコ実務の持つ「責任の所在の不透明化」を享受してきた日本企業には、基本的に馴染まないものです。

電子署名を本当に普及させるには、日本企業が本当の意味でジョブディスクリプションと権限委譲を欧米並みに使いこなせるようになる必要がありそうに感じます。

とはいえ、「ハンコを押すために出社する」のがバカげているのは間違い無いので、早く電子署名が欧米並みのスタンダードになってほしいな、と思います。

景表法の総付景品規制の存在意義は何だろう

この記事、半分、愚痴です(笑)

景品表示法の総付景品規制の意味合いが、個人的にピンときていません。

総付景品規制というのは、景品類の上限を取引価格の20%以内に抑えなければならないというアレですね。どんな業界でも、toCのビジネスをやっていれば避けては通れない規制です。

 

総付景品規制への疑問

総付景品規制の疑問点、主に以下によります。

 

景品類の付与は、事業者にとって「やったもん勝ち」ではない

まず、景品類の付与は、それ自体で消費者が損をすることはありません。「景品類の付与」という事象だけ見れば、消費者にとってはメリットです。

逆に、景品類の付与は事業者にとってはコストです。各事業における利益の最大化のために行われることなので、無制限に行われることはありません(でないと、単なる慈善事業です)。

したがって、総付景品の付与は、規制がなくても、個々の事業者において適当な範囲に自然と収まってくるはずです。

 

不当廉売や抱き合わせ販売は、景表法の規制範囲ではない

そして、これです。

体力のある事業者とそうでない事業者では限度が異なるため、総付景品上限を無制限にすれば弱小事業者は淘汰されてしまう、結果、長期的に見れば公正な競争が阻害されて、商品の価格が下がらず、消費者にとっては害になる、

景品表示法は独占禁止法の特例法なので、こういうロジックがあることはよくわかります。

 

でも、「増量値引き」や「セット販売」にした途端に、総付景品規制の適用はなくなっちゃうんですよね。

その場合、問題になるのは独占禁止法の不当廉売や抱き合わせ販売になるわけですが、これらは基本的に競争阻害性が発生しなければ独禁法違反にならないとされています。一律の金額のラインを超えるか超えないかだけで判断する総付景品規制と比べて、ずいぶん結論に差があります。

ちょっと売り方や訴求を変えただけでこれほど結論に差が生じてくるのは、実務やっていて非常に違和感を感じます。

 

景表法の他の規制に比べて、総付景品規制は浮いている?

表示規制の存在意義は明白です。

こちらは景品と違い、消費者にダイレクトにデメリットが及びますので、ストレートに消費者保護の観点で規制の必要があります。そうでなければ、事業者にとっては、まさに「やったもん勝ち」の世界になってしまいます。

 

一般懸賞の存在意義、これもよくわかります。

一般懸賞に上限規制がなければ、もはやギャンブルです。仮に個々の消費者の利益をスポットで害さないとしても、社会的な利益を明らかに害します。お金を賭けて麻雀を行うのが違法なのと、考え方は同じですね。

・・・例えとして賭け麻雀を持ち出したのに、深い意味はありませんよ(棒読み)。

 

絵合わせ規制、これは景品規制の一環ではありつつ、その実態は表示規制に近いものなので、これも存在意義はわかります(それが改めてはっきりしたのが、「コンプガチャ」でした。詳しく書くとめちゃくちゃ長くなるので、またいずれ。)

これらの規制に比べ、総付景品規制は、明らかに浮いているように見えてしまいます。

 

事実、海外の国々を見ても、表示に関する規制は当然のようにあり、また懸賞に関する規制もしばしば見受けられますが(シンガポールなど、一部の国は日本と比べても厳しめの規制があります)、総付景品を規制する規制はまだ見たことがありません。

 

まとめ

総付景品は、景品表示法による金額ラインでのシロ・クロではなく、独占禁止法により競争阻害性の要件をつけて規制する方が良いのでは、と思います。

範囲が不要に広くなりすぎる規制のために事業者(多くは法務担当者)がコストとパワーをかけているという実態は、経済成長のために健全とは思えません。

いろんな意見あると思いますが、私は見直し対象にしてよい規制だと思います。

ブランド価値、ブランド既存リスクって何だろう。法務観点から考える。

法務部員が、事業部門とともに契約書や事業スキームのレビューをする際によく出てくる言葉が「ブランドリスク」や「ブランド毀損リスク」です。

例えばスキームに法的にグレーな点があった場合に、「法的リスクがありますし、さらにブランド毀損のリスクもありますよ」とか。

 

この言葉、打合わせや会議で本当によく聞くのですが、どうも「法令遵守リスク」→「ブランドリスク」・「ブランド毀損リスク」→「大変!」と、言葉だけが一人歩きして、抽象的に使われているケースが多いように感じます。

抽象的な概念に留まっていては、リスクとリターンをしっかり判断することができません。何とかもっと具体的に、せめてリスクリターンの判断がしやすいように整理できないかと考えているのですが、今日はそれを頑張って言語化してみたいと思います。

 

ブランドってなんだろう

まずは「ブランド」という言葉の定義から考えてみたいと思います。ここでは、私がこれまで読んだ書籍中のブランドへの言及から、2点挙げます。

まずはこちら。

ブランディングとは、消費者の頭の中に「選ばれる必然」を作ること。

USFを劇的に変えたたった一つの考え方(森岡 毅 著)

ブランドそのものの定義ではないですが、要は消費者の頭の中の「選ばれる必然」こそがブランドということですね。

 

次にこちら。

「しかし、ここで視点を変えてください。ブランドがあるからこそ、お客様がその企業の商品を買ってくれ、売上が上がるのです。つまり、結果的に、フリーキャッシュフローが生まれるわけですね。そう思えば、企業価値には、そのブランド価値がちゃんと反映されていることがお分かりいただけると思います。ブランド価値が反映されているフリーキャッシュフローから算出された事業価値に、ブランド価値を加えてしまったのでは、それこそ、ダブルカウントになってしまうわけです。」

ざっくりわかるファイナンス(石野 雄一 著)

ブランド価値は、企業(事業)価値に含まれるのであって、別箇独立に存在するわけではないということです。これは非常に重要だと思っています。

言い換えると、「ブランドリスク」は、基本的に、「キャッシュフローに影響するリスク」と別で存在するものではありません。ブランドリスクを、「何か得体の知れないもの」として扱う理由は基本的にはありません。

  

  • 「消費者の頭の中の選ばれる必然性」がブランド
  • それは、「キャッシュフローに影響するリスク」と別個に存在するものではない

というのが、ここまでの整理です。

 

選ばれる必然性って何だろう?

「消費者の頭の中の選ばれる必然性」とは何でしょうか。

、、、といっても、ファストファッションブランドで買う靴下と、ハイブランドで買うジャケットでは、求めるものが違うのは、明らかですよね。

以下ではこれをもう少し構造的に整理します。

 

商品には、「コア」、「形態」、「付随機能」という要素があります。

「コア」は商品の機能的価値そのもの、「付帯」はパッケージ、品質、所有することでの差別化・満足感など、機能的価値プラスアルファの付加価値、「付随機能」はアフターサービスや保証などの、商品の付加的要素です。

これらのどの部分が「選ばれる必然性」になっているかは、商品により異なります。この点を考えるに際して、商品にはいくつかの分類の仕方があります。

 

耐久財すぐ消費されるもの食品や飲料、化粧品など
非耐久財消費せず、継続して使うもの服、家具、家電など
サービス無形のサービス保険、運送、移動など

に分ける考え方、

 

最寄品日常頻繁に購入するもの食品、飲料など
買い回り品通常、いくつかの製品を比較検討して
買うもの
服や家具など
専門品高級品、趣向品など、吟味して買うもの車、ブランド品など

に分ける考え方などが代表的です。

 

先ほど、靴下とジャケットの例を出しましたが、

  • 最寄品かつ耐久財(考え方によっては非耐久財)である靴下は、主にコアと安さで選ばれる
  • 対して、専門品かつ耐久財であるハイブランドジャケットは主に付帯(差別化意識)で選ばれる

ということができます。

 

リーガルリスクとブランド毀損リスクはイコールではない

徐々にまとめに入っていきます。

 

何らかのリーガルリスクの顕在化時に、その商品の「選ばれる理由」が毀損してしまうリスクは、ブランド毀損リスク「も」高いと言えます。

例えば、「環境に優しい」ことが選ばれる理由として浸透し、成功している洗剤があったとします。この商品の製造過程において、もし産業廃棄物の処理が適切に行われていなかったとしたらどうでしょう。

法令に基づくペナルティを受けるにとどまらず、消費者に選ばれる理由の一つが消えてしまいかねないわけですから、ブランドに与える影響は非常に大きいといえます。商品の売上が減少し、将来のキャッシュフローに大きなダメージを負ってしまいかねません。

 

逆に、特定のリーガルリスクが顕在化しても、その商品の「選ばれる理由」に特に影響がない場合は、リーガルリスクは負っていてもブランド毀損リスクはそれほど高くないことになります。

例えば、価格が安く、身近なお店でどこでも買えることが選ばれる理由となっているお酒の商品があったとします。この商品のラベルのデザインが第三者の知的財産権を侵害していたとしても、侵害相手から損害賠償を受けるかもしれませんが、商品が選ばれる理由自体には大きな影響はなく、将来のキャッシュフローに継続的にダメージを負う可能性は低そうです。

もちろん、こういうのは起きない方が望ましいのは間違いないですが、少なくともリーガルリスクとブランド毀損リスクを混同すべきではなく、分けて考える必要がありますよね。

  

まとめ

法務の発する「ブランド毀損リスク」という言葉は、事業部門にとってみれば、こちらが思っている以上のインパクトを与えがちです(要は、必要以上にビビらせてしまいます)。

ビジネスはリスクを取ってリターンをあげる活動である以上、リスクについてミスリーディングを起こさない/起こさせないことを意識したいところ。

そのためには、丁寧に言語化して考えることが大事です。

映像作品などのグッズ化(MD化)許諾における、知的財産権の保証条項は「当然」か?

映像作品は、映像としての利用に限らず、グッズ化等で利用されるケースがあります。この場合、映像の権利元から外部の会社にライセンスがなされることが大半と思います。

 

ライセンスの際にしばしば見られるのが、第三者の知的財産権の非侵害保証です。「被許諾者が、利用対象となる映像作品を、ライセンスに基づきグッズ化利用することが、第三者の知的財産権を侵害しない」などの条項のことです。

当然の規定に思われるかもしれませんが、これは軽々に合意できる条項ではありません。実務の場では、しっかり交渉ポイントにすべきです。

 

利用許諾の本質は

そもそも、著作権や商標権の利用許諾の本質は、「許諾者が被許諾者による利用対して、知的財産権を行使しないこと」です。「その利用が第三者の知的財産権を侵害しないこと」は、法的には利用許諾に必要不可欠な要素ではなく、追加でつける条件の一つに過ぎません。

 

映像作品の商標権クリアランス

その上で、ここでは主に、映像作品と商標権について考えてみましょう。

 

映像作品を制作するにあたって、商標権のクリアランスはどこまでなされているものでしょうか。作品のタイトルくらいは、通常クリアランスがなされていることが多いでしょう。

でも、それ以外の要素はどうでしょうか。

通常、映像作品の登場人物の名前など、作品内の各要素の名称に関する商標権クリアランスは、「当然になされているもの」ではありません。映像作品内で単語が出てきても、ふつうは「商標としての使用」に該当しませんので、クリアランスの必要性がありません。

 

グッズ化するときに起きること

ところが、その要素を切り取って「商品」として世に出す場合、名称が商品名に使われる場合があります、これは「商標としての使用」に該当します。

映像としての利用の限度では商標権を気にする必要がなかったものが、利用の態様が変わることで、商標権のケアの必要性が発生するわけです。

 

これを何も考えずフリーハンドで保証することは、少なくとも許諾者側にとっては非常に危険です。

映像作品のグッズ化を許諾するということは、許諾者から見ればアウトソーシングの一貫ですので、自社の事業と比べ一般的には利幅が小さいもの。にも関わらず負うリスクが大きいということになれば、何のためにそれを行うのかわからなくなってきます。

 

一方で、被許諾者から見れば、安くない利用料を払って作品を使わせてもらうわけですから、第三者の知的財産権の侵害がないことは当然期待したくなります。

ここの利害対立は、突っ込んで考えていくとなかなか難しいものがあります。

 

考えられる落としどころ

映像作品利用許諾の際の第三者知的財産権非保証は、許諾者と被許諾者の間のリスク分担の問題に行き着きます。その観点で考えると、いくつかの落とし所が見えてきます。

 

侵害発生時の損害賠償金額にキャップをつける

まず考えられるのは、リスク顕在化の場合の損害賠償金額に上限をつけること。これだと、少なくとも許諾者側のリスクは一定の上限がかかります。

被許諾者側のリスクには上限がかかりませんが、グッズ化が被許諾者側にイニシアチブがあるビジネスであることを考えると、このリスクはどちらかといえば被許諾者で取るのが落としどころとしては妥当でしょう。

 

利用できる名称や要素の限定を厳しく絞る

これも、落としどころの一つです。

利用できる要素の限定は通常行うものですが、加えて商品名や広告等で使用できる名称なども契約上で細かく制限を加えてしまい、その範囲での利用に限り、許諾者側で第三者の知的財産権非侵害を保証する、という方法です。

予め定めた範囲でのクリアランスを行っておけば第三者の知的財産権侵害のリスクは相当程度軽減されるため、一見安心感のある方法です。

反面、グッズのマーケティングに多大な制限が発生してしまうというデメリットがあります。

 

まとめ

以上、映像作品のグッズ化と契約上の第三者の知的財産権保証規定についてまとめてみました。許諾者、被許諾者とも軽く流してしまうかもしれない規定ですが、実務に落として考えると論点の多い規定であることに気づくかと思います。

 

ちなみに余談ですが、実はこの観点は、日本の会社より欧米の会社との交渉の方が難航しがちです。商標権は登録主義と使用主義があり、使用主義が多い欧米法制に馴染んだ会社だと、商標権クリアランスのハードルがより理解しづらいようです。

契約交渉における「支払いサイト」の重要性をワーキングキャピタルの観点から

日々の契約レビューと交渉では、いくつもの論点や交渉事項が発生します。

  • 表明保証の内容は?
  • 契約不適合責任の請求可能期間は?
  • 損害賠償に上限はあるのか?
  • 契約解除条項はあるのか?その内容は?

など、

 

その中で、法務目線ではつい軽視してしまいがちなのが支払いサイトです。恥ずかしながら、かつての私もそうでした。

 

支払いサイトと、ワーキングキャピタル

支払いサイトの影響力を理解するには、ワーキングキャピタル(WC)の理解が要ります。WCとは運転資金のことで、ざっくり「棚卸資産+売上債権−仕入債務」で計算します。

 

例1 売上2ヶ月、支払い1ヶ月

上の図だと、より分かりやすいと思います。

 

  • 売上100に対して費用が80
  • 売上債権は2ヶ月後に支払い、仕入債務は1ヶ月後に支払い
  • 毎月売上が1.5倍成長

という前提で、実際のキャッシュフロー(CF)を整理したものです。

 

利益は上がっていますが、(CF)はマイナスになっていますよね。これは、支払いサイトの差により、各月に支払う仕入債務が、その月に受領する売上債権より大きくなっているからです。

売上が増加するにつれて、キャッシュフローのマイナスが大きくなっていきます。これがWCです。マイナス分は資金調達などで補填しなければなりません。

成長企業では、WCのマネジメントが重要になります。ここをしくじると黒字倒産が起こります。

 

例2 売上、支払い共に1ヶ月

では次に、上の図を見てください。

 

  • 売上100に対して費用が80
  • 毎月売上が1.5倍成長

は変わらず、仕入債務と売上債権の支払いサイトを両方1ヶ月にしたものです。たったこれだけで、キャッシュフローが劇的に改善しているのがわかるかと思います。

 

例3 売上3ヶ月、支払い1ヶ月

では次に、上の図はどうでしょうか。

 

  • 売上100に対して費用が80
  • 毎月売上が1.5倍成長

は変わらず、仕入債務の支払いサイトを1ヶ月に対して売上債権の支払いサイトが3ヶ月になったものです。

キャッシュフローのマイナスが非常に大きいですね。WCのマネジメントがしっかりできなければ黒字倒産の可能性が高くなってきます。

 

契約条件における支払いが「当月」なのか、「翌月」なのか、「翌々月」なのか、文字にしてしまうと数文字ですが、これだけの差が出てくるのです。

別の言い方をすれば、売上債権の支払いサイトを1ヶ月短くすることは、売上金額分のキャッシュを1ヶ月間無利子で調達するのと同じことです。(逆に1ヶ月伸ばすことは、無利子で1ヶ月お金を貸すのと同じことです)

 

まとめ

支払いサイトのインパクトが大きいという点、お分かりいただけたのではないでしょうか。

 

とある会社は、この支払いスパンの改善・ワーキングキャピタルの改善により、外部からの資金調達を最小限に留めた上で巨額の手元キャッシュを補填し、大きな買収案件につなげた例を聞いたことがあります。

契約交渉において有利な支払いサイトが取れるなら、表明保証条項の一つや二つ、軽く差し出したくなりますよね(笑)

 

法務はバックオフィスなので実際にお金を稼ぐことはできない、また現場のオペレーションレベルではできることに限界がある、などよく聞きます。でも、決してそうではない、むしろオペレーションレベルの契約交渉で劇的な違いが発生することの例です。

法務というよりアカウンティングの知識ですが、周辺分野の知識をつけることでより有効な仕事ができるようになります。

景品表示法をAIDMAモデルから考える

みんな大好き(?)景品表示法。

BtoCの事業をやっている会社だと、各種キャンペーンの相談が法務に入る機会は多いのではないでしょうか。

 

景品類をつけるキャンペーンにおける法務部門の関わり方は、

  • それが一般懸賞なのか総付なのか、それともオープン懸賞なのか、
  • 一般懸賞や総付景品ならいくらが景品類をつけられるのか、
  • 今企画しているキャンペーン内容が上限額に収まるのか、

というレビューが中心になると思います。

 

が、この手のキャンペーンは、マーケティングの一環として行われるものなので、マーケティングの基礎的な知識持っていると、より相談者の立場に立った対応ができます。

 

AIDMAの法則

マーケティングの用語に、AIDMAモデルというものがあります。消費者の購買決定を説明するモデルの一つです。

  • A = Attention(認知)
  • I = Interest(興味)
  • D = Desire(欲求)
  • M = Memory(記憶)
  • A = Action(行動)

要は、消費者は特定の商品/サービスに対していきなり「買う」という意思決定をするのではなく、段階を踏んで「買う」ところまで達する、ということを示しています。

これ自体は古くからあるモデルで、今はAISASモデル(インターネットでの購買活動を表すモデル)とか、リピーター獲得まで取り込んだモデルとか様々あるのですが、なにぶん私は深く語れるほどのマーケティング知識を持っているわけではないので、ここでは割愛します。

 

AIDMAモデルを使ったマーケティングの検証方法として一般的なのが、消費者がどの段階で離脱しているのかを検証して、そのポイントに対する打ち手を考えるというものです。

例えば、

  • 商品が認知はされているけど消費者の記憶に残るところまで行ってないのか、
  • 消費者の記憶には残っているけど最後の「買う」に至っていないのか
  • はたまた、そもそも商品認知自体がされていないのか

という検証をアンケートなどで行い、そのギャップを埋めるための打ち手を考える、ということですね。

 

超概略ですが、この図だと、消費者の記憶と行動の間での離脱率が高いので、打ち手はその点に対して行うべきです。

 

他方、この図だと認知はされているけど興味を持たれていないことになるので、その点に対して打ち手を打つ必要があります。

 

景品類をつけるキャンペーンも、これらの打ち手の一つです。

 

この景品類の目的、なんでしたっけ?

さて、景品表示法の相談を受けていると、景品類の目的があいまいだな、と感じる相談に対応することが結構あります。(もちろんプロのマーケターの方であればそんなことは起こらないのですがが、日本の会社だとキャンペーンを考える方が全員マーケティングに明るいとは限りませんし、実際そうではないと感じます)。

 

例えば、「商品の売れ行きがイマイチなので、豪華なおまけをつけるキャンペーンをやって起死回生をはかりたいです!」みたいなケースです。(もうお察しの通り、「豪華なおまけ」ですから、たいていは総付景品規制の上限額を超えています。)

「購入者の中から抽選で何名かに超豪華なプレゼントを提供したいです!」というケースもよくあります。「超豪華なプレゼント」なので、一般懸賞規制の上限を(以下略)。

 

このようなキャンペーンの目的、究極的には「商品を売りたい」です。でも、AIDMAモデルで考えたときに、どこを埋めるために行うものなのか、意識されているでしょうか。

 

キャンペーン内容と目的が一致していないケースって?

総付景品のキャンペーンを行う主な理由は、基本的には「最後のひと押し」です。

商品認知が十分でない段階で総付景品キャンペーンを行っても、十分な効果が得られない可能性が高いです。上限が低額なので、キャンペーンが出せるインパクトに限界があるからです。商品認知が十分でない状況であれば、オープン懸賞でインパクトのあるキャンペーンを行った方が、効果が出る可能性が高いです。

 

結構前ですが、某缶コーヒーのキャンペーンで「1000万円分のサービスが受けられる機能が入った携帯電話」のプレゼントキャンペーンがありました。もちろんオープン懸賞で行ってたものですが、私に関していえばいまだに覚えているくらいなので、キャンペーンの効果は十分にあったと言えます。

 

逆に、商品認知が十分あるのにオープン懸賞のキャンペーンを打っても、商品の購入にはつながりません。これ、法務担当としては、オープン懸賞だからOKですで流してしまうケースですが、目的が怪しいなと思ったら踏み込んだアドバイスをしてあげられるとベターです。

 

目的と打ち手がそもそもずれているキャンペーンに対して、「できる方法」をいくら考えても、それは高確率で時間のムダですし、キャンペーンに要するコストのムダです。企画自体の再考をすべきですし、法務としてもそういうアドバイスができるようになるべきでしょう。

 

まとめ

法務の役割には、ビジネスの推進も含まれます。法規制の知識だけでなく、周辺分野についても少しの知識を持てば、仕事の幅も広がります。何より、仕事をしていてそのほうが面白いですよね。

コロナウィルス下で、2ヶ月弱の在宅勤務(テレワーク)を経ての所感

コロナウィルスの影響により在宅勤務が開始されてからまもなく2ヶ月が経とうとしています。もちろん自分史上最長期間の在宅勤務です。

今後の人生これを超える期間の在宅勤務をするのかどうかわかりませんが、良い機会ではあるので、ここまでの在宅勤務の実感を自分の備忘も兼ねて残しておきます。

タイムマネジメントの難しさ

まずはこれ。

いろんな方が既に述べていますが、タイムマネジメントが本当に難しいですね。通勤時間がなくなったことで、オンとオフの切り替えがしづらく感じます。

仕事終わらせて夕食食べた後に、ちょっと気になってパソコン開き、そのまま意図しない時間に仕事を続けてしまったことも多数。そしてそういう時に限って大した成果が上がりません(笑)

また、同僚や上司・部下とお互いに姿が見えないため、ついつい夜遅くや休日にメールを返すなどして、「頑張ってるオレ」をついついアピールしたくなってしまうことがあります。これ、短期的にはともかく、長期的には自分のパフォーマンスが落ちます。少なくとも自分はそうでした。

こういう動きが他者に連鎖していくと、心の弱い人から長時間労働や休日労働に引きずられていき、組織全体の効率が落ちてしまいかねないので意識的に止めないといけないです。

組織的に、「●時以降の執務は原則禁止」など、強い対応が必要になるなと感じています。それこそ、平時より強く意識しないといけない点です。

フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションに勝るものなし

コミュニケーションにおいて、対面で話した時の声の微妙なトーン、応答の間、表情の微妙な変化、体の姿勢の変化などから得られる情報は、思っていた以上に重要だったという実感を持ちました。これらなしでのコミュニケーションが結構なストレスになってます。

こういった情報として得られないということは、こちらから相手の状態に対して想像を働かせざるを得ず、それが自分の脳の余計なメモリーを食っている感があり、テレカンによる打ち合わせ後の疲労を強く感じるようになりました。

「在宅勤務でもオフィスにいる時と変わらず周りとコミュニケーション取れてます〜!」という人も見ますが、正直言ってそんなはずないよなあ、と感じてしまいますね。もし本当にそう思っている人がいるとすれば、普段のコミュニケーションで上記のような感覚を働かせていない人ではないか、という気がします。

共同体意識が薄まる

「社員が同じオフィスに集まる」という行為をしていないため、自分の中での企業という共同体に所属しているという意識が薄くなっていると感じます。

これ、良い面と悪い面があります。

同じ空間にいることによる同調圧力がかからず、無駄な付き合いや、いわゆる「空気を読む」必要がなくなり働きやすさを感じることがある一方、日々の仕事による他者貢献を感じづらくなり、なんとなく孤独感や無力感を感じてしまう瞬間が増えてきた実感があります。

このあたりは、人によるのでしょうね。

チーム内に後者の傾向が強いメンバーがいる場合、そのままにしておくとパフォーマンスが落ちたり、最悪離職につながる恐れがあると感じます。いつも以上に社内や部内での定例会議等の時間をもつべきでしょう。

トピックがなくても、15分でも30分でも時間をとって、声を掛け合うことが大切に思います。

平常時のパフォーマンスを求めてはいけない

あえて言いますが、「今この状況」の在宅勤務で、平常時のパフォーマンスを出すことは難しいです。自分は無理でした。

タイムマネジメントやコミュニケーションの問題もありますが、加えて平日は勤務、休日は自粛という状況。

ただでさえ不安を感じやすい状況、かつ発散の機会が限られる中で、普段と変わらないパフォーマンスが出せるとすれば、それはもはや修行僧か何かでしょう。

自分も在宅勤務開始時は、「在宅でもいかに普段と変わらないパフォーマンスが発揮できるかが大切」と思っていましたし、周りにもそうハッパを欠けていましたが、今ではそんな気持ちは微塵もありません。前向きに諦めることをしなければ、いずれどこかで精神的に参ってしまう危険を強く認識してます。

有事の在宅勤務下では、自分や他者に期待するハードルを「前向きに下げる」ことが大事だと感じます。

いずれ世の中が平常化し、しばらく経った際にこのエントリを読み返したら、自分はどんなことを感じるのか。その時が早く来て欲しいですね。

法務の仕事を内部統制との関係で整理する

法務部門(知財部門含む)のお仕事を、内部統制との関係で整理、言語化してみます。法務部門も内部統制の機能の一環なので、全体としての機能に対して日々の業務がどこに位置するかを知っておくのは有益です。

内部統制とは

内部統制とは、出資者等などから資産を託された経営者が、以下の4つの目的が達成されているという合理的な保証を得るためのプロセスを言います。

内部統制の責任者は社長をはじめとする経営陣。経営陣から雇われた従業員は、与えられた権限の範囲で、これらの活動を行なっていきます。法務と言わず、企業における活動は、大半がこの内部統制のための活動になります。

  1. 業務の有効性・効率性が確保されていること
  2. 事業活動に関わる法令等の遵守
  3. 資産の保全
  4. 財務報告の信頼性

※ 金融庁 「内部統制の基本的枠組み」より。

簡単に言い直すと、

  1. 企業活動には目的があるので、その目的達成のために資源を配分し、(業務の有効性・効率性確保)
  2. 守るべきルールはしっかり守りながら、(法令等遵守)
  3. 正しく資産を増やしていき、(資産の保全)
  4. その結果を正確にステークホルダーに報告しましょう(財務報告の信頼性)

ということです。

法務部門の機能

次に、一般的に法務部門が持っている、日々行なっている仕事をざっと挙げてみます。これは企業が置かれる環境によって内容やウェイトが異なってくるので、あくまで一例として考えてください。ここに挙げた以外の仕事も、もちろんあると思います。

事業法務

  • 契約書作成、レビュー
  • 契約等交渉
  • 事業スキームの法的検討
  • 各種規制への対応
  • データ規制対応

機関法務

  • 株主総会、取締役会運営
  • 株式実務
  • M&A等対応

知的財産

  • 知的財産取得、管理
  • 知的財産のクリアランス
  • 知的財産侵害に対する権利行使

紛争対応

  • 各種紛争対応

マネージャー業務

  • 採用活動
  • 人員配置
  • メンバー教育

内部統制の目的へ、法務機能を当てはめる

では、上で書いた内部統制の4つの目的に、法務の機能をザクっと当てはめてみましょう。

業務の有効性・効率性確保
・採用活動
・人員配置
・メンバー教育
法令等の遵守
・事業スキームの法的検討
・法令等規制対応
・データ規制対応
・知的財産クリアランス
資産の保全
・契約書作成、レビュー
・契約等交渉
・株式実務
・M&A等対応
・知的財産取得、管理
・知的財産侵害に対する権利行使
・紛争対応
財務報告の信頼性
・株主総会、取締役会運営

一応の分類をしてみましたが、こと法務機能という観点だと、法令等遵守と資産の保全は、かなりの分野で重なりがあります。

例えば、「資産の保全」に分類した契約書作成・レビューの局面で、下請法など法令等遵守の観点が入ってくることはよくありますし、同じく資産の保全に分類している「M&A等対応」で、企業の規模が大きくなれば独占禁止法など、法令等遵守の観点が入ってきます。この2つの目的の間での法務機能は、相当重なりがあると理解しておいたほうが良さそうです。(なので、「これはこっちじゃない?」みたいなのがあると思いますが、暖かい目で見てやってください;)

ポイントは、法務機能の大半は、「法令等遵守」と「資産の保全」に落ちていくということ、そして、「資産の保全」の目的に資する機能が、「法令等遵守」と同等かそれ以上に多いということ。

結論自体に目新しい点はないのですが、内部統制の観点から見たとき、企業における法務部門というのはこういう組織体です。

ガーディアン機能とパートナー機能

いわゆる「ガーディアン機能」と「パートナー機能」についても補足しておきます。(「ガーディアン機能」「パートナー機能」というワードは、国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書から持ってきました。)

一見すると「法令等遵守」の局面がガーディアン機能、「資産の保全」の局面がパートナー機能をそれぞれ発揮する局面と思われがちですが、報告書の内容でも書かれている通り、必ずしもそれだけではありません。法令等遵守の局面でパートナー機能が、逆に資産の保全の局面でガーディアン機能が必要になる場合があります。

ガーディアン機能とパートナー機能を場合によって使い分けて、法令等遵守と資産の保全に資するというのが、内部統制との関係で整理した時の法務部門の主要な役割になってきます。

企業法務部員(バックオフィスも)の目標設定の考え方

法務に限らず、バックオフィスというのは目標設定に苦労する部署です。営業のように明確な数字を設定できるわけではないので、何をすれば全社貢献につながるのかが見えづらい。マネージャーとしてメンバーにどんな軸を与えてあげるべきかが見えづらく、同じような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

 

私の経験上、バックオフィスの目標設定の軸は、「業務の改善!改革!」的な方向に行くか、「伸びている〇〇ビジネスをサポート!」的な方向に行くケースが多いと感じますが、これはどっちもイケてない目標です。前者は手段の目的化ですし、後者は「伸びている〇〇ビジネス」に直接関われない、もしくは関わる機会の少ないメンバーにとってはモチベーションが上がりません。

私自身経験あるんですが、こういうマネージャーに当たるとモチベーションの置き所が非常に難しくなります。。

 

法務(バックオフィス)の目標設定の軸

 

私は、メンバーの目標設定の軸を、以下の3点で考えています。

 

① 日常発生する業務をしっかり回すこと

② 日常業務を改善すること

③ 自身の能力を上げ、できることを増やすこと

 

①の「日常業務」は、日頃の契約審査や法律相談への回答などです。ここに評価軸としての価値を認めないマネージャーもいると思いますが、これが回らないと会社としての業務に支障が出るものである以上、私はここにも価値を認めてあげたい派です。

②は業務フローの改善や、研修・啓蒙による各部の知見アップ、マニュアル化等による業務効率化を指します。「改善!改革!」に対して若干ネガティブ目なことを書いていましたが、メンバーの時間が有限である以上、これが重要であることに疑いはありません。盲目的に同じ業務を繰り返すことは、当然良いことではありません。

③は、個々人として学習を積み、それまでできていなかった部分をできるようにする/なることを意図しています。例えば、英語が得意でなかったメンバーが英語を学び英文契約のレビューができるようになるとか、特定の部署・ビジネス・分野(例:データ規制)への知見がなかったメンバーが学習しながら意識的に仕事を取りに行き、その部署やビジネスに案件を回せるようになるとか、そんなイメージです。

 

スタートアップなどであれば、日常の業務が新しいことばかりで、①をこなすということが即ち③を兼ねているというケースもあるでしょう(すごく羨ましい環境です)。ただ、その場合であっても、新しい分野を取れているのかどうか(今やっているのが①だけなのか、①兼③の状態になっているのか)というのは、意識的に見ていくべきと思います。

 

この考え方の究極的な目的は、③につなげていくこと、そのための時間を確保することです。

 

いかに組織で仕事をするとはいえ、法務は専門職です。個々の能力の向上なくして、チームの力は上がりません。アマチュアチームのチームワークがどれだけ良くても、プロのチームには絶対勝てないのです。一人一人が自己の能力をあげていくことが絶対に必要になります。

①で給与に対する価値を提供しつつ、②で時間を作り出し、いかに③につなげていくか(そのための時間を作り出していくか)がこの考え方のコンセプトであり、目的になります。各メンバーのキャリアにとっても好影響なので、組織とメンバーがWin-Winの関係になれるのもポイントです。

 

目標設定の軸に対する評価の比重

 

この考え方のもとでの評価の比重は、①:②:③で1:1:1になるかなと考えています。全部できていれば高評価、2つできていれば中評価、1つであればギリギリ及第点(S、A、B評価の場合、全部できていればS、2つでA、1つでB)という考え方です。

 

ただし、①ができていないという状態は厳しい。

①は今の給与水準で最低限こなすべき業務であるはずなので、他の2つができていても、①ができていない場合はその時点でマイナス評価原則にならざるを得ません。営業でいうと、売上取れない営業マンということになるので、他にどんなに光る点があってもやはり難しいです。

正確には、①は必ず満たすべき基準で、そこに②、③のうち1つが乗ってくれば中評価、2つが乗ってくれば高評価、という表現の方が正しいですね。

 

一方で、各メンバーが業務に割く時間が①:②:③で1:1:1になるかというと、なかなかそれは難しいのが実情です。どうしても、①に割く時間が60%程度にはなってしまいがちですが、これはもう仕方ないものと考えるしかありません。

 

様々なご意見ある点かと思いますが、何かの参考になれば幸いです。

なお、マネージャーの目標軸はまた違うお話になります。

法務マンの僕がTwitterを始めた理由

このブログの初エントリです。

僕はTwitterと、ブログを2020年になってから始めました。ブログはまだ本当に「始めたて」状態なので、今回の記事はTwitterを始めた理由と、約1ヶ月半やってみての所感についてまとめてみました。

 

なぜこのタイミングでTwitterを始めたのか

 

これはシンプルに、「やらないリスク・デメリット」が「やるリスク・デメリット」を上回ったと感じたからです。

 

個人的に、Twitterって不用意な発言するとすぐ個人特定、炎上、私生活漏洩が起きるってイメージがありました。

また僕は、と言うか法務マンはほとんどそうだと思うんですが、仕事柄センシティブな情報を扱う機会が多いです。酔った勢いで不適切なツィートをしてしまう可能性も、人間なので「絶対ゼロ」とは言い切れない。ある程度安定した会社に所属しているなら、そんなリスクを犯す必要なんてない。

 

これらの理由から、TwitterだけでなくSNS全般には疎遠でした。

あと、単純に面倒臭かった 笑

 

しかし、世の中の状況の変化のスピードは早く、法務の世界も例外ではありません。

 

「終身雇用が崩壊した」というのはもうかなり前から言われており驚くことではないですが、この数年で副業・パラレルワークが推進され、もはや士業ではなく普通のビジネスマンであっても、1人につき就業している会社が1つ、という状況ではなくなっています。

 

仕事における一夫多妻制。

個人として魅力的な看板をもつ人間には魅力的な仕事が集まり、そうでない人は仕事を持てなくなっていく。

 

そんな状況が明確に見えたこと、そして自分自身ある程度年齢を重ねたことで、手元にSNSがあっても不適切な使い方はしないだろうと確信。SNSを通じた発信を「やらないリスク」は「やるリスク」を明確に上回ったなと感じたのです。

 

 

Twitterを始めて良かったと感じること。

 

基本、よかったです。大きめの声で言いたい。

 

情報収集ツールとして優秀

 

日頃Twitterに親しんでいる人には「何を今更」って話だと思いますが、情弱を笑わないでやってください。

 

適切な人をフォローしていると、情報収集の効率性と深さが全然違う。Web上に溢れかえる情報にフィルタリングをかけ、擬似的にPush型で情報を届けてくれるのは本当にありがたい。

 

あと、特定の人をフォローし、またフォロー外した時の、タイムライン上に流れてくる情報の変化がすごく、どの情報を取りに行く、行かないで自分の頭の中の世界が結構変わることに気づきました。

要は自分の世界認識の狭さに気づけた、ってことですね。これ副次的なメリットだったと思っています。

 

超ローコストのアウトプットの場ができる。

 

「インプットの質を向上させるためには、アウトプットを意識してインプットしろ。」

 

よく言われることですが、文字制限の都合上アウトプットにそれほどコスト(時間)がかからないTwitterは、面倒くさがりやのアウトプットの場として最良です。Twitterという場を得たことで、日々の知識インプットのモチベーションの上昇を感じてます。

 

あとアウトプットの場としては、ブログもなんとか頑張って続けたい(自分への釘さし)。

 

 

繋がりと承認欲求

 

・・・俗ですみません。

でも、いいねやRTをもらえるとやはり嬉しい。日々のインプットも捗ります。

 

僕は内向型なので、毎日人と会食したり飲みに行ったりするのはエネルギー総量的にしんどい人なので、SNSのゆるい繋がりは結構心地よさを感じます。Facebookと比べてドヤアピールや意識高いですアピールも少なく、適度なゆるさがあるので、心もそんなに疲れません。

 

Twitterを始めて、良くなかったと感じること

 

今のところ、特に大きなデメリットは感じてません。

 

強いて言うなら、スマホでTwitterを開くのが手癖になってしまったことかな。

今まではスマホゲームが手癖になってたのでそれに比べりゃいくらかマシなんですが、それでも無計画に時間を使いすぎるのは避けなければと思います。

 

心を強く!