法務版 念能力チャートを作ってみる

これもいずれ書きたかった記事。

ハンター×ハンターの念能力チャートの法務版です。法務マンにとって重要な能力を、例のあのチャートっぽく分類してみたいと思います。

法務版念能力チャート 6つの能力

 

⒈ 非言語力

演繹、帰納をはじめとした論理的思考を組み立てたり、推論、計算等をする力。別名「地頭力」。さらに別名「SPIの鬼門」。

法務に限らず、どんな仕事をしていくにあたっても重要な能力。というか、これが高い人はなんの仕事やらせても大抵できてしまう、社会人にとって万能と言っていいくらいの力。

念能力で考えると、たぶんこれが「強化系」。単純に、シンプルに強い。何よりも強く!ただ強く!」。なお、あっちの強化系と違って単純バカではない。

 

実際、これが高い人を目の当たりにすると「勝てんなあ・・・」と思ってしまう。

 

⒉ 言語力

言語化する力。または文献などを読み解く力。

契約書ドラフティング、各種資料作り、社内関係者への説明など、法務マンとしてはとても重要な力。この力が相対的に高い人は法務に向く。逆に低いと、法務マンとしては厳しい。

最近は英語や中国語など外国語力がますます重要になっているが、それもここに含む。ただし外国語ができる=言語力が高いわけではない。英語ができても言葉ができない人は残念ながらごまんといる。

仕事のアウトプットは言語を使って行うものなので、念能力で考えるとこれが「放出系」。

 

⒊ 交渉力

そのものズバリ、交渉力。

相手方(社外であっても、社内であっても)との利害関係を調整し、優先順位を決め、獲得すべきものを獲得するための力。

基本的に交渉は持っている情報が多い方が有利なため、相手に腹の中を探られない振る舞いや、いつどこを譲歩するかの駆け引き、自分サイドの情報をいかに実際より大きく見せるかというある種のハッタリも必要になる。さらに、最後はWin-Winと相手に思わせることも重要。

非言語力同様、これが高い人はどこで何やっても優秀。

 

念能力に当てはめるとこれが「変化系」。非言語力とどっちを強化系にするか迷ったけど、こっちの方が何か「変化系」っぽくないですか?

 

⒋ 調査・検索力

判例や文献などから必要な情報を見つけ、取捨選択していく力。新人法務マンはまずはここから力をつけていくケースが多い。

かつては判例・文献調査ができれば良かったが、今の時代はインターネット検索エンジンを使いこなす力も必要なものとしてここに含まれる。

人の仕事がAIに取って代わられると言われて久しいが、法務の仕事で真っ先にAI化が進むように見えるのがこの力。ただ、「情報に適切にフィルタリングをかけられる力」はいかにAIが発達しても人間のスキルとして必須であり続ける。大事なのは、AIやツールをしっかりと「使いこなす」こと。

念能力に当てはめると、「操作系」か。

  

⒌ 規範化力

規範・ルール化する力。内部統制、危機管理寄りの能力。 

ルール化は単発の案件の処理とは異なり、事象の抽象度をあげた上で幅広いケースに当てはめられるものとして作成する必要がある。これは複数案件の最小公倍数を探っていくようなプロセスであり、単発案件の処理に必要なある種の「突破力」とは反対に位置する能力になる。

この力が高すぎると、逆に個々の案件の処理スピードが落ちる場合がある。状況を俯瞰しすぎてしまうがゆえに、個々の案件の最適解に飛びつくことができない。いわゆる「見えすぎて動けない」状態。羽生善治さんの著書「決断力」で同様のことが書かれていた。

これは「具現化系」で決まり。オーラ別性格診断(神経質)にもぴったり。

 

⒍ マネジメント力

6個目、これくらいしか思い浮かばなかった(後日思いついたら更新するかも)。組織を回し、後進の指導をしていく力。

名選手、名監督に非らず。他の5つの能力がいかに高くても、これが高いとは限らない。ということで、これを「特質系」とする。

 

まとめ

ということで、上記が法務の能力チャート。各能力間の位置関係も、割といい感じに収まった気がします。

上の3つの方面が得意な人はどちらかというと事業法務系、下の「調査・検索力」や「規範化力」方面が高い人は内部統制・コンプライアンス系に向きます。

この場合、水見式はSPIですかね。ただし、見れるのは言語力と非言語力だけ。法務の水見式、誰か作ってくれないだろうか。

 

余談

今回念能力チャートを見返してみて、また現実世界に当てはめる思考実験をしてみて、改めてこのチャートは良くできてると思いました。冨樫先生やっぱりすごい。

なので、早く連載再開して欲しいです。。

在宅勤務からオフィス勤務を再開した際の感覚。企業にオフィスは必要か?

緊急事態宣言が開けてしばらく時間が経ちました。朝晩の通勤電車に乗っている人もだいぶ増えてきています。私もフルではないまでも出社開始してます

以前、在宅勤務の所感についての記事を書きましたが、完全在宅勤務があけてオフィス勤務を再開した際に気づいたこと、思ったことを備忘も兼ねて言語化しておきます。

 

オフィスで感じる「仕事した感」は一体何なのか

私の場合、在宅勤務とオフィス勤務で同じくらいのアウトプットを出していても、何なら在宅勤務時の方が多くのアウトプットを出していても、オフィス勤務の方が「仕事した感」を感じやすいことに気づきました。

 

これ、自分でも不思議だったのでなぜかを考えてみたのですが、

  • 上司、メンバー、同僚との仕事関係の立ち話がある
  • 周りが執務している状況の中に自分が置かれることの緊張感がある
  • 通勤時間の存在(在宅勤務と比べての、1日の中での環境の変化)

あたりがありそうだな、というのが私の感覚です。

 

オフィスに出勤し、同僚と雑談、情報交換し、上司と会話し、周りが仕事しているのを見る。そういった環境に自分が置かれる。これらの状況が、アウトプットの量とは関係なく、一定量の「仕事した」感を感じさせる要因になっているような気がします。

逆に在宅勤務だとそういうことがないため、何かしらのアウトプットを作成してないと、仕事をしている実感が沸きづらいです。この差が、在宅勤務とオフィス勤務における感覚の差になっている気がします。

 

オフィスで感じる「仕事した感」は悪なのか?

オフィスで感じる「仕事した」感、一見有害なものに思えまが、私はこれが絶対悪だとも思っていません。

 

この「仕事した感(仕事してる感)」は、「組織への帰属意識」とともに、「心理的安心感」を作り出すものという感覚があります。要は、「気持ちの余裕にもつながる」という効果を感じました。

これがない在宅勤務では(特にバックオフィスでは)、何かに追われるようにアウトプットで存在を主張するしかなく、気持ちの余裕、頭の柔らかさ、視野の広さをかえって失いがちに感じます。

 

私は、完全在宅勤務を経験しないとおそらくこの感覚は持てなかったでしょう。この点だけでも、在宅勤務は価値がある経験だったと思います。

 

企業にオフィスは必要か?

在宅勤務でも業績が落ちなかったからオフィスはもはや不要だ、という主張を目にします。果たしてそうでしょうか。

 

短期的には、在宅勤務を続けた方がアウトプットの効率や量は上がるのでしょう。通勤時間もないですし。しかし、それは「今の自分の能力の範囲内のアウトプットを出し続ける」ことでしかないんじゃないか、という気がしています。

振り返ってみると、これまで自分にとってキャリアの発展や仕事を広げる過程というのは、必ずしも「その時点の自分の力」から単純に延長線を引いていく過程ではなかったなと。そういうものが、在宅勤務でオフィス勤務と変わらず得られるかというのは、正直私にはまだわかりません。

 

これは、短期的に判断すべき問題ではなく、私は結論づけるのはまだ早いと思います。

 

おわりに・・・

今回の記事は、多分に自分の感覚論です。

自律性が高く、成果を出し続けることができ、オフィスに行かずとも副業や勉強会・交流会などで視野を広く保ち続けることができ、家に十分な執務環境がある心の強い人にとっては、確かにオフィス勤務なんて何のメリットもないでしょう。

でも、そういうスーパー人材は企業に所属するという選択をしないか、外資のような給与も人材流動性も高い市場に行くのが合理的なんですよね(苦笑)。