トラブル対応の法務

法務の仕事とトラブル対応は切っても切り離せません。法務なら、誰しもが一度は経験したことがある仕事ではないでしょうか(ある意味、腕の見せ所でもあります)。

トラブル対応時の動き方はケースにより様々、、、なのですが、所属企業や局面にかかわらず使える、ある程度共通の考え方、検討の仕方があると考えてます。

 

法務のトラブル対応時のフレームワーク

以下のフレームワークは、法務として法的トラブルを分析するときに、汎用的に使えます。

  1. 現状の定義
  2. 現状に対する法的評価(この中で法的三段論法を使う)
  3. 想定される最大のリスク、サンクション
  4. 考えられる是正対応

 

まず現状を定義し、それに対する法的評価をします。法的評価をする際の基本は法的三段論法なので、この法的評価のところの下位要素として、例の「規範」、「当てはめ」、「結論」があります。

法的評価を行ったら、次はリスクの評価。法務にとって「法的トラブル」そのものがオオゴトに感じるかもしれませんが、ビジネスにおいて重要なのは「最悪、何が起きるか」です。これを明確にしないと、ビジネスサイドとのコミュニケーションが進みません。

最後に考えられる是正対応をまとめます。是正対応には、選択の余地がないような「マスト対応」、マストではないものの、取れればよりベターな「選択的対応」と、いくつかの選択肢が発生することが多いです。「松」「竹」「梅」案とか、よく言われますね。

 

法的トラブル分析において重要なのは、これらを「一通り」、「もれなく」行うことです。

しばしば人により事例により、法的評価から最大リスク分析を飛ばして是正対応に飛んでしまったり、最大リスク分析するところで検討を止めてしまい是正対応が出てこなかったりします。これが当たり前にできている人、意外なほど少ない印象です。

なお、これを人に伝える際は、PREPの要領で先に結論を簡易にまとめられるとベターです。

 

法務のトラブル対応時の留意点

さて、法務のトラブル考察ついでに、もういくつか。

 

法務がトラブル対応にあたる際に、非常に重要なことがあります。それは、「事実と解釈をはっきり分ける」こと。トラブル対応時は、これが平時よりさらに重要になります。

 

事実と解釈の混同は、最悪のケースでは上司や、事業部や、経営陣の判断を誤らせます。そして、有事にはこれが命取りになります。私自身、ミスやトラブルに関する報告を受けていて、一番ゲンナリするのがこれ。報告を受ける側としても、限られた時間の中でそれらを切り分けてあげる、という余計な一手間が発生してしまうためです。

逆に、若手でもここを明確に切り分けて報告ができる方を見ると、「仕事ができる」印象を持ちます。

 

自分のミスが原因でトラブルになった時は、、、

最後に、誰しもミスはあるもの。自分のミスでトラブルを起こしてしまうことも、仕事をしていればあります。あの、全身の血が凍るような瞬間、何度味わってもイヤなものです。。

そんなときに心に留めておきたい考え方を二つほど。私の経験からご紹介してこの記事を締めます。

 

まず一つ、その瞬間にどんなにヤバイと思ったトラブルでも、後から振り返れば大抵のものは「笑い話」になること。

そして、周りは、「ミスを起こした」という事実そのものより、「ミスに対してどう対応したか」ということの方をよく見ているということ。

 

もちろんミスがないに越したことはないですが、ミスに対する事後の対応は、結果的に自身の評価をあげる場合だってあります。仕事を任せる方から見ると、ミスを隠して何事もなかったかのように振る舞うより、ミスを即座に報告して、適切真摯に対応をしてくれる方が、やっぱり何倍も安心感がありますし、大事な仕事も任せたくなるものなんですよね。